国旗損壊罪は本当に必要だったのでしょうか
2026.07.17 23:25(2週間前) 活動報告 |西園勝秀
本日、「国旗損壊罪」を創設する法案が参議院本会議で可決・成立しました。しかし、私はこの法律には賛成できません。
第一に、立法事実がありません。
これまで自己所有の国旗を損壊したことによって、社会秩序が大きく乱れたという事例は確認されておらず、新たな処罰規定を設ける必要性は示されていません。
第二に、法律の内容が極めて不明確です。
他人が所有する国旗を損壊した場合は、従来から器物損壊罪で処罰できます。今回の法律が対象とするのは、基本的に自己所有の国旗の損壊です。
しかし、どのような行為が処罰対象となるのか、その境界は曖昧です。例えば、公共の場で持参した国旗を引き裂いたり、燃やしたり、切り刻んだりする行為は処罰の対象となる一方、古くなった国旗を処分するために屋外で焼却する行為は処罰の対象とはされません。
さらに、法案提出者が国会で示した事例を見ても、何が適法で何が違法なのか、なお判然としません。このように処罰範囲が曖昧な法律は、法治国家において望ましい姿とは言えません。
筑波大学の大石和彦教授は、「許される行為と許されない行為の境目が曖昧なままだ」と指摘されています。また、中央大学の橋本基弘教授は、「施行段階で何が罪となるのか、はっきり定まっていなければならない。論外だ」と厳しく批判されています。
第三に、この法律は「表現の自由」を萎縮させるおそれがあります。
法案提出者は、「国旗を大切にする気持ちが醸成され、愛国心も醸成されていく」と説明されました。しかし、愛国心とは、刑罰によって育まれるものなのでしょうか。
私は、そうは思いません。
祖国を愛する心や国旗を尊重する意識は、教育や文化、日々の暮らしの中で自然に育まれるものであり、刑罰によって強制されるべきものではありません。
また、この法律によって、SNSなどで「どこまでが違法なのか」を試すような行為が誘発され、かえって国旗をおとしめる行動を招くおそれも指摘されています。そのような事態も重く受け止める必要があると考えます。
本日、この法案について良識ある自民党議員の方と意見交換をしたところ、「法律として問題がある」という認識は私とほぼ同じでした。しかし、「それなら、なぜ反対しなかったのですか」とお尋ねすると、苦笑いをされるだけでした。
私は、この法律は法律としての明確性を欠き、立法事実も十分ではなく、表現の自由にも影響を及ぼしかねないものだと考えています。
だからこそ、感情ではなく、法の支配と憲法の理念に立ち返った、冷静で真っ当な政治を取り戻していかなければならないと強く感じています。
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