衆議院 環境委員会で在日米軍基地のPCB管理を問う
2026.05.19 20:49(4か月前) 国会質問活動報告 |西園勝秀
5月19日の衆議院環境委員会で、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法及び中間貯蔵・環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律案」について質問しました。
議事録
第221回国会 衆議院 環境委員会 第9号 令和8年5月19日
西園委員 中道改革連合の西園勝秀です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
早速質問に入らせていただきます。
PCB特措法の改正により、JESCO事業は終了します。しかし、PCBの脅威そのものがなくなったわけではございません。
一九六八年に発生したカネミ油症事件では、食用油にPCBが混入し、一万四千人を超える方々が深刻な健康被害を受けました。胎盤や母乳を通じて影響が及び、皮膚が黒ずんだ黒い赤ちゃんが生まれるなど、世代を超えた深い悲しみをもたらしました。
一度放出された有害物質への対応がいかに困難であるかは、坂口厚生大臣の主導によりカネミ油症救済法が成立するまでに実に四十四年もの歳月を要したことからも明らかです。
PCBは、難分解性、生物蓄積性、長距離移動性という極めて厄介な性質を有しています。大気や海流などを通じて地球規模で移動するため、PCBを一切使用していない北極圏の野生生物やイヌイットの人々の体内からも検出される事態が生じています。
このように世代を超え、さらには国境を越えて生命と環境を脅かすPCBの危険性を踏まえれば、日本国内からの漏出を絶対に許さない、例外なき厳格な管理が求められることは自明の理です。
環境行政のトップとして大臣もこの危機意識を共有していただいていると思いますが、改めて御見解をお聞かせ願います。
石原国務大臣 お答え申し上げます。
PCBは、かつて様々な電気機器の絶縁油等に使用されておりました。委員が御指摘されたカネミ油症事件による健康被害が発生し、PCBの毒性が社会問題化したことから、一九七二年以降は製造が中止され、化学物質審査規制法に基づき、一九七四年の六月からその製造、輸入等が事実上禁止をされたところであります。また、二〇〇一年に採択されたストックホルム条約でも規制対象となっているところであります。
その後、長期の保管を余儀なくされたPCB廃棄物の確実かつ適正な処分を推進するために、PCB特別措置法の制定やJESCOのPCB処理施設の設置等を行ってきたところであります。
今般の法改正において、低濃度PCB使用製品の廃棄後の適正な処分のため、製品を使用している段階から管理する制度を創設をいたします。
PCBは世界的にも廃絶が求められる有害な化学物質であり、我が国では、PCBの製造を禁止するとともに、処理に関する制度の整備や処理施設の整備等を通じて、適正な保管、処理を進めてきたものであります。
そのように認識をしているところであります。
西園委員 大臣、御丁寧な御説明ありがとうございます。
PCBは長距離移動性を有しているため、一部の国における使用や不適切な管理が地球規模での環境汚染を引き起こします。こうした問題意識の下、国際的な規制の取組が進められ、先ほど大臣もおっしゃられた、二〇〇一年には残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約が採択されました。この条約を批准しているカナダ、イギリス、チェコなどの主要国では、二〇二五年をPCBの使用全廃期限と定め、強力な現場査察や汚染者負担の原則の徹底などにより目標達成に向けた取組を着実に進め、過去十年間で純PCBのストックを九九%削減しています。
一方、世界最大のPCB生産、消費国であるアメリカは、現在に至るまでストックホルム条約を批准しておらず、国家として明確な全廃期限も設けておりません。また、PCBの管理についても、十分な実地確認を伴わない自己申告ベースの仕組みに依存しています。その結果、二〇〇六年以降の十数年間における国内PCB保有量の減少率は僅か三%にとどまるなど、処理が著しく停滞している状況です。
PCBは長距離移動性を有しているため、いずれか一国に管理上の抜け穴が存在すれば、地球規模での汚染を防ぐことはできません。そのような中、世界最大のPCB保有、排出国であるアメリカが国際的な枠組みの外にあり、PCBの保有総量や処分状況が十分に明らかとなっていない現状について、日本政府として重大なリスクであると認識しておられるのでしょうか。御答弁をお願いいたします。
伯野政府参考人 お答えいたします。
ストックホルム条約でございますが、PCBなどの残留性有機汚染物質による地球規模の汚染を防止し、人の健康及び環境を保護するため、当該物質についての製造、使用規制等を国際的に進めるものでございます。
御指摘の米国については、同条約を批准しておらず、締約国としての義務の下にはないものと承知しております。一方で、PCBは、先生御指摘していただいたとおり、長距離移動性を有することから、非締約国からの影響も含む地球規模の汚染状況の継続的な把握が重要であると考えております。
この点、地球規模では、同条約の有効性評価におきまして締約国のモニタリングデータを統合した結果から、大気中及び人体中のPCB濃度は全体として低下又は低水準で推移していることが確認されております。
また、我が国における環境モニタリングでも、大気を始めとした一般環境で、PCBの残留状況は長期的な減少傾向が確認されているところでございます。
我が国としましては、引き続き、国内でのモニタリングや、東アジア地域での協力等を通じまして状況把握を継続し、国際的なPCB管理の向上に貢献してまいりたいと考えております。
西園委員 モニタリング、ありがとうございます。
アメリカから持ち込まれる可能性というのは、これは一般の輸入製品であれば税関検査を通じて化学審査規制法違反として摘発することができますので、これは可能だと思うんです。
しかし一方で、税関検査を経ずに日本国内へ持ち込まれる可能性がある場所があります。それは在日米軍基地です。アメリカ本土から在日米軍基地に搬入される製品について、PCBが含まれているか否か、これは日本政府として確認できるんでしょうか、できないんでしょうか。政府としての御見解をお聞かせください。
大森政府参考人 お答えいたします。
御質問の、米国本土から在日米軍施設・区域に持ち込まれる機器にPCBが含まれるか否かについて、環境省では把握しておりません。
西園委員 環境省は分からないということですね。
防衛省はいかがでしょうか。
末富政府参考人 お答え申し上げます。
米国本土から持ち込まれる機器を含め、在日米軍が保管するPCB含有機器及びPCB廃棄物につきましては、防衛省として把握をしておりません。
西園委員 今御答弁いただいたとおり、日本政府としては、アメリカ本土から在日米軍基地に搬入された製品にPCBが含まれているかどうかを確認できないということでございます。
ただ、実際に過去、在日米軍基地から排出されたPCB廃棄物については、日本政府の負担で処理したことが明らかとなっています。一九九五年にアメリカから全面返還された沖縄の旧恩納通信所跡地において、翌年、大量のPCB含有汚泥が発見されました。その際、米軍は返還地の原状回復義務を免除した日米地位協定を盾に汚泥の引取りを拒み、結果として、日本政府の費用負担によりPCB廃棄物の処理が行われたと承知しております。
また、屋良朝博衆議院議員の質問主意書に対する直近の政府答弁書によれば、二〇一八年度以降、岩国飛行場、佐世保海軍施設、嘉手納飛行場などの提供施設の整備に伴い排出されたPCB廃棄物についても、日米間の協議の結果として、日米地位協定第二十四条が適用され、日本政府の費用負担によって処理が行われたとされています。
PCB処理を進める国際社会では汚染者負担の原則が徹底されています。日米間の協定や安全保障上の配慮は理解しておりますが、環境保護と国民の安全を最優先に考えれば、有害廃棄物の処理責任の在り方が国際原則と乖離しているのではないかとの懸念があります。
日米地位協定という枠組みの中にあっても、極めて有害性の高いPCBの処理については、国際的な環境保護の理念や汚染者負担の原則を踏まえた対応が求められると考えます。
現在の費用負担の在り方も含め、政府の御見解をお聞かせ願います。
大森政府参考人 お答えいたします。
防衛省が行う、返還事業、提供施設整備事業及び米軍再編事業に伴い発生したPCB廃棄物につきましては、防衛省において処理されてきたと承知しております。
在日米軍が所有する、在日米軍施設・区域由来のPCB廃棄物への対応につきましては、米側において適切に対応がなされるよう、引き続き外務省、防衛省と連携して取り組んでまいります。
以上です。
西園委員 御答弁ありがとうございます。
では、防衛省にちょっと次の質問をさせていただきたいと思うんですが、在日米軍基地には、戦闘機など、米軍が所有、管理する設備がある一方、日本側が整備し米軍に提供している施設や、自衛隊が共同使用している施設もございます。
先ほど、過去の施設返還時や提供施設整備事業において発見されたPCBについては、日本政府が日米地位協定に基づき処理費用を負担してきた、こういう実態を確認をさせていただきました。
では、今後、米軍基地内の自衛隊との共同使用施設や、日本側が整備し米軍に提供している施設において、新たに高濃度PCBを含む大型変圧器などが発見、排出された場合、その処理責任や費用負担はどうなるのでしょうか、御見解をお聞かせください。
末富政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど環境省からも御回答があったように、在日米軍から施設・区域が返還された場合の原状回復措置に係る事業において発生したPCB廃棄物につきましては、日米地位協定第四条の1の規定に基づき、また、提供施設整備及び米軍再編に係る事業において発生したPCB廃棄物につきましては、日米地位協定第二十四条2の規定に基づきまして、それぞれ日本国政府が処理費用を負担し、在日米軍から返還手続を取った上で、これまでも関係法令に基づき、防衛省が適切に処理してきたところでございます。
今後も、これまでと同様に、関係法令に基づきまして、防衛省は適切に対応してまいりたいと思っております。
西園委員 御答弁ありがとうございます。
防衛省が提供した、あるいは防衛省が実際に共有している、この施設については日本側がしっかり負担をしてやっているということだと思います。
私、やはりちょっとこのときに気になるのが、じゃ、それ以外、いわゆるアメリカが、米軍が所有、管理している設備、ここからもし仮に高濃度PCBが出た場合についてどうなるのかということが一つちょっと問題として上がるかと思います。
私がやはりここで最も懸念しているのは、責任の所在や費用負担が曖昧なまま、老朽化した機器から極めて毒性の高いPCBが土壌や地下水に漏えいしてしまうリスクです。環境保護と国民の生命を守るという観点に立てば、いかなる施設であっても、有害廃棄物が放置される管理の空白地帯を生んではならないと思います。
万が一の事態に備え、あらかじめ日米間で責任の所在を明確化し、迅速かつ確実な無害化処理が遅滞なく進むルールを確立しておくべきと考えますが、政府の御見解をお聞かせ願います。
大森政府参考人 お答えいたします。
在日米軍が所有、管理する在日米軍施設・区域由来の高濃度PCB廃棄物への対応につきましては、米側において適切に対応がなされるよう、引き続き外務省、防衛省と連携して取り組んでまいります。
以上です。
西園委員 ありがとうございます。
米軍が管理しているものについてはアメリカがしっかりやってください、こういうことなわけですね。となると、在日米軍基地における環境管理基準の在り方そのものが問われているということだと思います。
二〇一五年に発効した日米間の環境補足協定や、外務省が公表している環境に関する改善の措置では、在日米軍施設・区域の環境基準として、アメリカが日本環境管理基準、JEGSを定め、維持することとされています。そして、このJEGSでは、日米両国又は国際約束の基準のうち最も保護的なものを一般的に採用するという重要な原則が示されています。
しかしながら、アメリカはストックホルム条約を批准しておらず、国内でのPCB処理も十分に進んでいない状況です。また、日本では、PCBを含むかどうかの基準を〇・五ppm超と定め、PCB特措法に基づいて厳格な期限管理と処理体制を整えています。これに対し、アメリカの基準はその百倍に当たる五〇ppmとされ、両国の間には大きな差がございます。
そこで、環境省にお伺いいたします。
日米間でこれほどの明確な基準の差異が存在する中、最も保護的な基準を採用するというJEGSの大原則に照らせば、在日米軍基地内に残存、保管されているPCB廃棄物に適用されるべきは、条約を批准しないアメリカの緩やかな基準ではなく、より厳格で環境保護の観点に優れた日本の基準、すなわちPCB特措法や廃棄物処理法と同等の厳格な管理、処理ルールがあるべきではないでしょうか。
仮に基地内において米国側の緩やかな基準が適用され続け、日本の厳格なルールが十分に及ばない状況があるとすれば、それはJEGSの基本原則に反するだけでなく、日本国内に重大な環境管理上の抜け穴を残すことにもつながりかねません。
国民の生命、健康、そして日本の自然環境を守る立場から、在日米軍基地内のPCBについて、例外なく、最も保護的である日本の厳格な管理基準に沿って管理、処理されるべきであると考えますが、政府の御見解をお聞かせください。
大森政府参考人 お答えいたします。
在日米軍では、その施設・区域内の環境管理に当たり、日本環境管理基準、JEGSを作成しております。
一般的に、このJEGSでは、米国基準、日本基準、若しくは国際協定基準のうち、より保護的なものを採用して策定され、その基準に基づいた対応が行われていると承知しております。
在日米軍施設・区域内に残存、保管されているPCB廃棄物につきましては、米側において適切に対応がなされるよう関係省庁と連携して、引き続き取り組んでまいります。
以上です。
西園委員 是非厳格な管理をよろしくお願いいたします。
次に、大臣にお伺いいたします。
JESCO事業は令和八年三月で終了し、今後は民間施設がPCB処理を担います。しかし、旧恩納通信所跡地では百万トン超のPCB含有汚泥が発見され、処理に十数年を要した事例もございます。
現在も米軍保有PCBの実態は不透明であり、老朽化した米軍施設から大量排出が起きた場合、民間主体の処理体制だけで安全かつ確実に対応できるのか懸念がございます。国内事業者への影響も含め、政府の備えと対応方針について、大臣の御見解をお聞かせください。
石原国務大臣 まず、在日米軍が所有する、在日米軍施設・区域由来の高濃度PCB廃棄物への対応については、政府委員が繰り返し発言しておりますけれども、米側において適切に対応がなされるよう、引き続き外務省、防衛省と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
一方で、一般論として、民間の処理施設の処理能力はどうかというお尋ねに関しては、今後、高濃度PCB廃棄物について、廃棄物処理法の告示で定める無害化処理の基準を満たした民間処理施設で安全に処理していくという方針であります。
確実な処理体制の確保に向けて、低濃度PCBの認定事業者に申請を呼びかけていきたいというふうに考えております。また、民間事業者が高濃度PCB廃棄物を処理することに伴う追加的な改修費用の補助等もしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。
西園委員 ありがとうございます。
なかなかちょっと御答弁が難しいお立場かと思いますが、米側にしっかり促していただければと思います。
ちょっと最後の質問になってしまいますが、法改正に伴う民間への処理移行における安全管理基準の確保と、民間事業者への支援強化についてお伺いいたします。
JESCO事業では、大型PCBの解体時にグリーンハウスによる密閉養生や負圧管理を行うなど、世界トップレベルの安全対策が講じられてきました。今後は民間事業者が処理を担うことになりますが、民間任せでは同等の安全水準を維持することは困難であり、周辺住民の不安も残ります。
環境省が示すガイドラインをいつまでに、どこまで具体化して現場に示すのか、お伺いいたします。また、高い安全基準を維持するためには、施設改修や技術習得への技術的、財政的支援が不可欠です。国としてどのように支援を強化していくのか、大臣の御見解を求めます。
石原国務大臣 今後、高濃度PCB廃棄物の処理は民間の処理施設において行われます。その際には、これまでのJESCO事業同様、安全を確保して事業を進めることが極めて重要というふうに認識しております。
昨年度、環境省及びJESCOが主体となって、民間の処理施設が高濃度PCB廃棄物を処理するために必要な追加設備の実証試験を行いました。この結果、安全に処理できることも確認したところであります。
その結果については、有識者検討会にも報告を行っておりまして、PCBの分解処理技術や作業安全、衛生、法制度など、多様な分野の専門家の評価も受けているところであります。
民間事業者による高濃度PCB廃棄物の受入れを令和九年度の早い段階から開始できるように、技術実証試験の結果を活用して、ガイドラインの改定作業も進めているところであります。
その際、必要に応じて環境省職員による立入検査や書類検査を行い、事業者が適正に対応していることを確認し、その結果も公表をしてまいりたいというふうに考えております。
高濃度PCB廃棄物の処理を検討する民間事業者に対しては今後、技能や知見を提供するとともに、必要な財政支援を検討することとしております。
引き続きPCB廃棄物が安全かつ確実に処理できる体制を環境省がしっかりと責任を持って確保してまいります。
西園委員 ありがとうございます。
在日米軍からもいつかもしかしたら出るかもしれない、やはりそのためにも民間がしっかりこれを処理できる体制を取っておくということは本当に大事だと思いますので、是非その体制を取っていただくよう、よろしくお願い申し上げます。
以上で終わります。ありがとうございます。
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