課題だらけの副首都法
2026.07.25 19:57(2週間前) 活動報告 |西園勝秀
7月24日、日本維新の会が主導した副首都法案が、参議院本会議で2票差により可決、成立しました。しかし、私は、この法案には国の統治機構に関わる法律として看過できない問題が数多くあると考えています。
第一に、立法の在り方そのものに問題があります。
国の統治機構を大きく左右する制度を創設する法案は、本来、内閣が提出し、内閣法制局による十分な法制審査を経るべきものです。しかし、本法案は議員立法として提出されました。その結果、「国会等の移転に関する法律」や「多極分散型国土形成促進法」との関係整理が十分に行われたとは言えず、法体系全体の整合性にも疑問が残ります。国の根幹に関わる制度であるにもかかわらず、このような立法手法が採られたことは極めて問題です。
第二に、国会の関与が著しく限定されていることです。
法案では、「副首都が担うべき機能」や「副首都指定の要件」は政府が閣議決定で定めることとされており、国会はその内容を実質的に審議・決定することができません。制度の根幹を法律ではなく政令に委ねることは、国会の立法権を空洞化させるおそれがあります。
さらに、指定要件の定め方次第では、大阪府だけがその要件を満たす制度設計も可能となります。そうなれば、この法律は、吉村大阪府知事が目指す「大阪都構想」に法的根拠を与えるためだけの法律にほかなりません。
第三に、地方自治との関係です。
大阪都構想は、本来、大阪府民・大阪市民が判断すべき地域の課題です。地方自治の本旨に照らせば、地方公共団体の組織や運営について、国が法律によって特定の方向へ誘導することには極めて慎重であるべきです。
実際、朝日新聞の世論調査では、大阪府民の間でも「副首都法を成立させる必要がある」が4割、「その必要はない」が5割という結果でした。このような状況で、大阪のみを実質的な対象とする制度を国が法律で整備することは、憲法第95条が定める「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない」との趣旨・理念との関係でも、慎重な検討が求められると考えます。
早稲田大学政治経済学術院の小原隆治教授も、大阪都構想を念頭に置いた副首都法案について、憲法上の観点から問題があると指摘されています。
副首都の必要性そのものを否定するものではありません。しかし、国の統治機構に関わる重要な制度である以上、その制度設計は全国的な視点に立ち、法体系との整合性や地方自治、さらには憲法との関係について十分な議論を尽くした上で進めるべきです。
そのような検討を十分に行わないまま法案を成立させた日本維新の会、自由民主党、チームみらいの責任は、極めて重いと言わざるを得ません。
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