衆議院 災害対策特別委員会で「防災庁設置法案」について質問
2026.04.16 23:00(7か月前) 国会質問活動報告 |西園勝秀
4月16日の衆議院災害対策特別委員会で、「防災庁設置法案」について質問しました。
主な質疑内容
2026年4月16日の衆議院災害対策特別委員会で、「防災庁設置法案」について、防災庁の使命と司令塔機能、進捗管理の体制、勧告権の行使、防災大学校、復興庁の知見の継承、地区防災計画と個別避難計画、女性の視点に立った避難所運営と女性の登用、被災した公務員の保護と業務継続を、牧野たかお復興大臣と内閣府・内閣官房に質問しました。
- 新設「防災庁」で何が変わるのか
答弁(牧野たかお復興大臣):30年以内に発生が危惧される大規模地震などに備え、防災体制の抜本的な強化は喫緊の課題。防災庁の使命は、発災時の対応から復旧復興まで一貫した災害対応の司令塔となること。勧告権も活用して縦割りの弊害をなくし、関係者と顔の見える関係を作って総力を結集する。 - 地域ごとの災害リスクをどう評価するか
答弁(内閣府 広域避難・計画推進室長):地域レベルで科学的シミュレーションに基づく災害リスク評価を行い、事前防災につなげることが重要。例えば想定される負傷者数から救出や救急搬送の体制が十分かを分野横断で検証する。結果が各種計画に反映されるよう、自治体を伴走支援する。 - 事前防災施策の一元把握とPDCA
答弁(内閣府 広域避難・計画推進室長):昨年7月の南海トラフ地震防災対策推進基本計画の変更では、各府省庁が今後10年に講じる施策を205の数値目標として盛り込んだ。防災庁では勧告権を背景にフォローアップに一層力を入れ、各府省庁の施策の進み具合や抜け漏れを把握する。 - 防災庁の「勧告権」をどう機能させるか
答弁(牧野たかお復興大臣):私は防災庁設置準備担当大臣で、勧告権の使い方はその時の防災大臣の判断。内閣直下の防災庁と防災大臣は、必要な段階で各省庁に勧告権を行使し、事前防災対策の実施や支援を求めることも考えられる。 - 複合災害・被害連鎖を防ぐ新たな防災戦略
答弁(内閣府 広域避難・計画推進室長):想定外を極力なくし、より過酷な事象や複合災害を見据えることが重要。昨年12月の基本方針に沿って、あらゆる事態を想定した中長期の国家戦略を立て、産官学民の防災技術の研究開発や、勧告権を活用した各省庁の施策の推進に取り組む。 - 「防災大学校」はどのような組織になるのか
答弁(牧野たかお復興大臣):産官学民の多様な関係者の間で高度な調整ができる人材の育成が重要。国や自治体の職員、民間人材を対象に、仮称・防災大学校の設置時期や機能を法案成立後に検討する。 - 幼児期からの防災教育と行動変容
答弁(牧野たかお復興大臣):子供たちが防災について自ら考え主体的に行動できるよう、関係省庁と連携し、地域と教育現場の両方の観点から取り組みを進める。 - 防災専門人材と復興庁の知見をどう継承するか
答弁(牧野たかお復興大臣):復興庁が14年間蓄積した経験とノウハウは非常に大きく、ワンストップ窓口は能登半島地震などでも生かされた。ただ、復興庁と防災庁は任務が明確に分かれており、現時点では一部の組織でも移管は検討していない。 - 津波避難―徒歩避難と車避難をどう両立するか
答弁(内閣府 広域避難・計画推進室長):津波避難は徒歩が原則だが、要配慮者がいるなどやむを得ない場合は、市町村が車で安全に避難できる方策を検討するよう求めている。防災庁では地域への伴走支援を強化し、自治体と連携して円滑な避難に取り組む。 - 個別避難計画―作成率14%をどう引き上げるか
答弁(内閣官房 防災庁設置準備室次長):好事例の横展開や手引の周知、作成経験のある市町村職員の派遣などで作成は着実に進んでいる。防災庁設置後は人員を増やして専門人材を確保・育成し、関係省庁や自治体と連携して更に促進する。 - 女性の視点を生かした避難所運営
答弁(内閣官房 防災庁設置準備室次長):避難所運営に女性の視点を取り入れることは大変重要。避難生活の環境確保の指針の周知に加え、防災庁で増える人員も活用して自治体を伴走支援し、指針の内容を普及・定着させる取り組みを強化する。 - 防災庁の幹部・専門職に女性を登用できるか
答弁(牧野たかお復興大臣):避難所運営では内閣府の防災担当と男女共同参画局の女性職員が中心に提言をまとめてきた。防災庁では働き方改革や防災分野での女性の参画を進め、女性幹部の積極的な登用にも力を入れる。 - 被災した自治体職員をどう守るか
答弁(内閣府 広域避難・計画推進室長):防災基本計画では、自治体は災害対応に従事する職員の健康管理を徹底するとしている。職員が休んでも行政機能を保てるよう業務継続の手引を作り、優良事例を紹介している。広域的な応援・受援体制の整備とあわせ、業務継続計画の策定と実効性の向上に取り組む。

資料①:シミュレーションに基づく地域ごとの分野横断的な災害リスク評価について

資料②:都道府県ごとの個別避難計画の作成状況
議事録
第221回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 令和8年4月16日 国会会議録検索システム
西園委員 中道改革連合の西園勝秀です。本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。
本日は、熊本地震から十年ということになります。改めまして、お亡くなりになられた全ての方々に哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。
我が国の災害対策は、大きな災害を経験するたびに強化されてきました。私は、衆議院議員として二期目を迎え、中道改革連合の立場で活動しておりますが、かつて所属していた公明党は、大衆とともにの立党精神の下、現場の声をすくい上げ、ハード重視だった日本の防災に生活者、弱者の視点を取り入れてまいりました。
例えば、一九九五年の阪神・淡路大震災では、国会で初めて福祉避難所を提唱し、高齢者や障害を持つ方々への配慮を制度化しました。また、二〇一一年の東日本大震災後には、全国の女性議員による避難所総点検を実施し、女性ならではの細やかな視点で被災された方々のフォローをするとともに、災害対策基本法の改正を主導して、地方防災会議への女性委員の登用を事実上標準としました。さらに、災害時の液体ミルクの国内解禁や、高齢者や障害をお持ちの方など、自力での避難が困難な避難行動要支援者の方々の個別避難計画作成の努力義務化など、誰一人取り残さない防災、減災を政治の主流へと押し上げてまいりました。
しかし、近年の気候変動による風水害の激甚化や切迫する国難級の巨大地震などを前に、これまでの体制の限界も指摘されております。各実施主体の縦割りによる抜けや漏れ、避難生活における災害関連死の増加など、課題は山積しており、長年、全国知事会からも、専任の大臣を置く防災省の設置が強く求められてきました。そして、今般、防災庁設置法案が国会に提出され、事前防災から復興までの一貫した司令塔機能を担う防災庁の役割が議論されているところでございます。
四月十四日の衆議院本会議で、我が党の中川宏昌議員の質問に対し、高市首相は、内閣府防災担当を発展的に改組する防災庁を内閣の下に置き、一段高い司令塔となって関係府省や自治体と連携し、徹底的な事前防災と、効果的、効率的に災害対応に臨む体制を構築してまいりますとお答えになりました。
そこで、お伺いいたします。
これまで推進されてきた福祉や女性の視点を生かし、災害関連死ゼロの実現等を図るために、縦割りの弊害を打破し、産官学民のあらゆる力を結集する必要がございます。この度新たに防災庁を設置することによって、これまでの災害対策の体制と具体的に何が変わるのでしょうか。新組織の使命と牧野大臣の御決意をお聞かせいただければと存じます。
牧野国務大臣 西園勝秀委員にお答えいたします。
防災庁の使命等について御質問がありました。
我が国では、風水害が頻発化、激甚化しているほかに、これから、千島海溝地震、日本海溝地震、首都直下地震、南海トラフ地震等、今後三十年以内に発生することが危惧されている大規模地震がございます。ですので、防災体制の抜本的な強化はまさに喫緊の課題だと思っております。
防災庁の使命は、発災時の対応から復旧復興までの一貫した災害対応の司令塔機能を果たすことだと思っております。
具体的に言えば、平時には、地域レベルでのリスク評価を行って、福祉や女性の視点も踏まえた避難所の運営体制の整備だったり、発災時に必要な物資の備蓄を進めるとか、地域における防災対策の支援を充実させてまいります。
また、災害時には、関係省庁と連携し、いち早く被災者の方々に必要な物資を提供するなど、良好な避難生活の実現を図ることで災害関連死の防止に取り組んでまいります。
さらに、復旧復興に至るまで、伴走型の被災地の支援を行ってまいります。そのために、防災大臣の勧告権を活用しつつ、防災庁が中核となって、縦割り行政の弊害を排除し、関係省庁と緊密に連携して取り組んでまいります。
これらの取組を進めるとともに、平時から関係省庁、自治体、産業界などの関係者と顔の見える関係を構築して、総力を結集して防災体制を抜本的に強化してまいります。
西園委員 大臣、ありがとうございます。力強い御決意を賜りました。
激甚化する自然災害や切迫する巨大地震に備えるため、防災庁には徹底的な事前防災の推進加速の司令塔としての役割が求められております。
これまでの行政体制では、国や都道府県が死傷者数などの被害想定を算出し、それに基づいて各府省庁が個別に政策を進めてきました。しかし、トータルパッケージとして地域の防災力が本当に向上しているのかを評価し、横断的に牽引する仕組みが弱いという課題が指摘されてきました。
ここで、お手元の資料一を御覧ください。
新たに創設される防災庁の取組として、シミュレーションに基づく地域ごとの分野横断的な災害リスク評価が示されています。これは、単なる被害想定から一歩踏み込み、災害時に人がどう動くかといったシナリオに基づくシミュレーションを通じて、発災後に地域住民の命を守る、命をつなぐために必要な機能や物資の過不足を定量的に分析する画期的なアプローチです。資料の右下、赤枠内にあるとおり、この不足部分を地域の弱部としてあぶり出し、重点的に対応策を検討していく方針が打ち出されています。
そこで、お伺いいたします。
防災庁として、この地域レベルでの具体的なシミュレーションに基づく災害リスク評価は具体的にどのようなプロセスや評価内容で行われるのでしょうか。また、そのシミュレーションの結果として地域特有の弱部があぶり出された場合、それを各府省庁の施策や自治体の地域防災計画などにどのように反映させ、優先順位を持った実効性のある事前防災対策へと確実につなげていくお考えでしょうか。司令塔としての具体的な対応方針について、政府の御見解を伺います。
鎌原政府参考人 お答え申し上げます。
南海トラフ地震などの大規模災害が発生した際にできる限り被害を防止、軽減するためには、地域レベルで科学的シミュレーションに基づいた災害リスク評価を行い、それを踏まえた事前防災対策を着実に講じていくことが重要と考えております。
災害リスク評価の具体的な手法につきましては現在検討中でありますが、例えば、地震発生時に想定される負傷者数などを算出した上で、救出活動や救急搬送の体制が十分かなどについて具体的かつ分野横断的なシミュレーションを行うことによりまして、必要な機能や資機材の不足などを定量的に把握し、その上で、最も効果的で実効性の高い対応策を検討することなどを考えてございます。
防災庁では、これらのプロセスが円滑に行われ、必要な対策が防災に関する各種計画に適切に反映されますよう、地方公共団体への伴走支援を含めて最大限支援していくとともに、国土強靱化施策とも連携し、政府一体となって対策を講じてまいりたいと考えております。
以上です。
西園委員 ありがとうございます。防災庁が立ち上がった際には、是非ただいまの施策を進めていただければというふうに思います。
防災庁が真の司令塔として効果的な対策を打つためには、現在各府省庁に分散している多岐にわたる事前防災施策の全体像を政府として正確に把握することが出発点となります。
これまで、我が国の災害対策は、各府省庁が個別の行政分野ごとに実施してきたため、縦割りによる施策の抜け、漏れが生じやすいという課題が指摘されてきました。個々の施策の進捗や効果を客観的に把握し、優先順位の見直しや資源配分の最適化に反映させていくとともに、過去の災害対応から得られた教訓を将来の備えに確実に生かしていく実効性あるPDCAサイクルの確立が大変重要です。
防災庁設置準備アドバイザー会議においても、関係機関による事前防災対策の抜け、漏れの把握や全体の進捗管理を行うとともに、個別災害への対応を中長期的、定期的に検証し、得られた教訓を次の備えにつなげるPDCAサイクルの構築が極めて重要であると指摘されております。
そこで、お伺いします。
防災庁は、これまで各府省庁が所管してきた事前防災施策について、既に一覧としてのリスト化を進め、施策の全体像を網羅的に把握されているのでしょうか。もし未完了であれば、新組織設置に向けてどのようなプロセスと仕組みで情報の一元化を図り、分野横断的な施策の全容を把握していくおつもりか、見解をお示しください。
さらに、施策の全体像を把握した上で不可欠となるのが、それらが確実に実行され、被害の予防、軽減に結びついているかを評価する進捗管理の仕組みです。防災庁は、各府省庁や自治体が実施する事前防災施策の進捗や効果を客観的かつ定量的にどのようにモニタリング、評価していくお考えでしょうか。外部有識者を交えた定期的な調査、審議の枠組みなど、実効性のあるPDCAサイクルを機能させ、防災施策を確実に前進させるための進捗管理の在り方と具体的な体制について、政府の御見解をお聞かせ願います。
鎌原政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府防災担当におきましては、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震、南海トラフ地震それぞれに係る地震防災対策の基本計画を策定し、その過程において各省庁の対策を把握してきてございます。
例えば、昨年七月に南海トラフ地震防災対策推進基本計画を変更した際には、南海トラフ地震対策として今後十年間に各府省庁が講じる施策を二百五の具体的な数値目標として計画に盛り込んだところでございます。このような計画策定のプロセスは防災庁においても引き続き実施してまいります。
また、委員御指摘のとおり、計画の進捗管理は大変重要と考えております。そのため、これらの大規模地震対策の計画については、さきに申し上げた具体的な数値目標を含めて、各分野の専門家の意見をお聞きしながら各府省庁の施策の進捗状況や課題の共有などのフォローアップを定期的に実施していくほか、地方自治体などに対しましても情報提供や助言などを行っていくこととしております。
さらに、内閣府防災担当の人員などを拡充しまして発展的に改組する防災庁におきましては、勧告権を背景に、フォローアップにより一層力を入れ、各府省庁の施策の進捗状況や対策の抜け、漏れの把握などをしっかりと行ってまいりたいと考えております。
西園委員 ありがとうございます。まさに定量的把握というのは本当に大事だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
政府の基本方針において、防災庁には、司令塔機能を発揮するため、各府省庁に対する尊重義務を伴う勧告等の権限が付与される方針が示されました。この勧告権は、平時から各府省庁の取組の抜け、漏れを把握し、縦割りの弊害を打破して防災対策を強力に進めるための極めて重要な権限と認識しております。
しかしながら、同様の権限を持つ復興庁やデジタル庁においては、これまで他省庁に対して勧告権が行使された事例はないとされています。過去の報道等では、各省庁の方が政策に詳しく、その意向を無視して使えない、出身省庁とのあつれきは避けたいといった理由が指摘されており、勧告権がいわゆる抜かずの宝刀になり、実効性を不安視する声が少なくありません。
防災庁設置準備アドバイザー会議においても、この権限の在り方が大きな論点となりました。有識者からは、縦割りの弊害で国が一丸となって動けていない現状を変えるため、防災庁が政策能力や意思決定能力を高め、勧告権をしっかり行使して、他省庁の一歩上に立つことが重要であると指摘がなされております。また、各省庁が所管する法律とバッティングし、その調整に時間がかかって災害対応が遅れる事態を防ぐ必要がある、勧告だけでなく、予算とひもづいた強力な指示、勧告でなければ他省庁は動かないといった、より踏み込んだ権限行使や実効性担保を求める厳しい意見も出ております。
防災庁が真の司令塔として意思決定を牽引するためには、この勧告権が形骸化することなく、適切かつ強力に行使される仕組みが不可欠です。
そこで、お伺いします。
防災庁に付与される勧告権について、他省庁の抵抗や出身省庁への忖度といった組織的課題を乗り越え、真に実効性を持たせるための具体的な運用方針をどのようにお考えでしょうか。他省庁の壁を打破し、必要であればちゅうちょなく勧告権を行使して防災施策を強力に牽引していくという防災担当大臣の強い決意をお聞かせください。
牧野国務大臣 お答えをさせていただきます。
まず、あらかじめ申し上げておきますと、私は防災庁設置準備担当大臣ですので、防災大臣になったわけではありませんので、そのときの防災大臣が勧告権をどのようにお使いになるかというのはそのときの防災大臣の御判断だと思いますけれども、今想定している勧告権については、午前中にも答弁させていただきましたけれども、本会議で高市総理がお答えをされたように、内閣の直下にある防災庁、防災大臣は、ほかの省庁よりも、防災という面、また、災害が発災したときには、一段高いところに位置して、そこで、勧告権を背景に各省庁に強い要求をしたり、また、その要求に従っていただけない場合には勧告権を行使するということで、十分勧告権を生かしたそういう大臣としての仕事になるんだというふうに思っております。
そして、勧告権を行使することによって、今、西園委員がおっしゃったみたいに、施策の縦割り行政をなくして抜け落ちや漏れをなくして、とにかく政府一体となって防災関係の施策を推進していくということになるかと思います。
例えば、私もそうですけれども、御地元の静岡等で心配される南海トラフ地震でそういう被害が予想されている地域で、地域レベルでのシミュレーションを行って、政府の計画の目標を達成するには、急いで対策が求められるような弱い部分を洗い出して、その上で勧告権をその段階で各省庁に行使するということも考えられますし、そうしたことを行うことによって事前防災対策の実施や支援を関係府省庁に求めるなど、防災庁が中心となって、地方自治体も含めて関係者が一体となってそうした防災の施策を推進していくことができるというふうに思っております。
西園委員 御答弁ありがとうございます。
本当にこの勧告権というのがまさに私は肝だと思っております。そのためにも、先ほど政府参考人の方から御答弁がありましたように、各省庁の施策が定量的に見える化されていることが私はすごく重要だと思います。定量的に把握ができていれば、例えば、進んでいないところに機械的に勧告を出すことが私はできると思いますので、そうすれば、例えば、仮に国交省が進んでいないときにも、牧野大臣も遠慮なく金子大臣に進めてくださいとはっきり言うことができる。客観的な指標こそが私は勧告権を発動する重要な指標だと思っていますので、是非よろしくお願い申し上げます。
今の防災庁の取組ですけれども、南海トラフ巨大地震や首都直下地震など、今後想定される国難級の大規模災害においては、まさにこれまでの延長線上にある対策だけでは国民の命と暮らしを守り切ることは困難です。防災庁設置準備アドバイザー会議の議論においても、今後の防災戦略を考える上で、従来の想定を超えた事態にどう備えるかが強く指摘されております。
これからの巨大災害で最も恐ろしいのは、被害が単独で終わるのではなく、ドミノ倒しのように次々と連鎖し、ある限界点を超えた瞬間に社会機能が一気に崩壊してしまう現象です。自然災害による物理的な被害に、過度な人口集中、インフラの老朽化、ライフラインの複雑な相互依存といった要因が組み合わさることで、この負の連鎖は一気に加速します。
例えば、大都市で長期間の広域停電と断水が同時に発生した場合、単なる不便にとどまらず、通信の途絶、医療機関の機能停止や物流網の断絶を引き起こし、結果として災害関連死を爆発的に激増させてしまうような事態がこれに当たります。こうした限界点を超えるような被害の連鎖を事前に先読みし、劇的に被害が増大する前にそれを阻止するための対策を先取りすることが極めて重要です。
これまでの我が国の事前防災は、過去の災害の教訓に基づく対策や個別の省庁が単一の災害を前提としたものが多く、複合的な要因が引き起こす負の連鎖には十分対応し切れていない懸念があります。
そこで、お伺いします。
新たに創設される防災庁は、こうした悲劇の劇的な増大を阻止するために、従来の延長線上にはない抜本的な防災戦略・戦術を再構築する司令塔とならなければなりません。社会機能の崩壊を食い止め、複合災害を見据えた全く新たな事前防災施策として、具体的にどのような中長期的戦略や重点施策に取り組んでいくお考えでしょうか。また、それを実現するための省庁横断的なアプローチについて、政府の御見解をお伺いいたします。
鎌原政府参考人 お答え申し上げます。
防災対策の企画立案に当たりましては、想定外を極力なくすことが重要であり、より過酷な事象や複合災害の可能性を見据えて事前防災対策を進めていくことが重要と考えております。
そのため、昨年十二月に閣議決定をされました防災立国の推進に向けた基本方針におきましては、常に最新の技術動向を見据え、大局的な観点から、固定観念にとらわれることなく、あらゆる事態を想定して起こり得る被害を先読みし、中長期的かつ総合的な基本政策や国家戦略の企画立案を行うこととされております。
具体的には、災害時に起こり得る事象の因果関係の分析などを通じた被害想定の高度化、分野横断的に実施すべき対策などについての総合的、戦略的な計画の企画立案、産官学民連携による防災技術の研究開発・社会実装の推進、勧告権も活用した各省庁の施策の着実な推進などについて取り組んでまいります。
今後、防災庁が司令塔となって、関係府省や自治体と連携し、徹底した事前防災に取り組んでまいりたいと考えております。
西園委員 ありがとうございます。複合災害は本当にシミュレーションが難しいと思います。産官学民の力を結集しての対策をよろしくお願い申し上げます。
次に、防災教育についてお伺いいたします。
頻発する自然災害や切迫する巨大災害において、行政による公助には限界があり、国民一人一人が自ら命を守るという主体的な行動変容が不可欠です。そのためには、実践的な防災教育の推進と、現場を支える専門人材の育成が急務となります。
政府の基本方針には、体系的な防災人材育成を推進する防災大学校の設置検討が盛り込まれました。有識者会議でも、気象大学校や海上保安大学校のように、防災の専門人材を養成する機関が必要との強い要望が出ています。これに対し、事前の確認によれば、気象大学校のような年単位の修業期間とする学校を一から創設するのではなく、国や地方自治体の行政職員、さらには民間人材を対象に、ビデオ講習と実践演習を組み合わせた研修機関として検討されているとのことです。
そこで、お伺いいたします。
この防災大学校の設立に向けた具体的な構想やスケジュール、そして、多様なステークホルダーをつなぐコーディネート力を持った人材をどのように育てていくのか、その将来像について政府の現在のお考えをお聞かせください。
さらに、国民の行動変容を促す防災教育も重要です。
有識者会議では、幼児期からの防災教育が保護者や地域の大人たちの意識改革にも波及し、極めて有効であると指摘されました。牧野大臣や私の地元である静岡県では、中学生が地域の防災訓練に毎年参加する、こういう仕組みがあるわけでございますが、子供のときの実践的な訓練は、将来の地域防災の担い手育成につながる大変すばらしい取組だと思っております。
しかし、幼児教育の現場に目を向けると、幼稚園は文部科学省、保育所は厚生労働省、認定こども園はこども家庭庁と、管轄省庁の縦割りが壁となり、指導者研修などが円滑に進まない現状も浮き彫りになっております。加えて、グローバルスタンダードである子供を救助者にしてはいけないという原則や、トラウマへの配慮が必要との慎重論も交わされました。
新たに創設される防災庁は、こうした縦割りを乗り越え、関係施策を一体的に推進する司令塔としての役割が期待されます。防災庁として、幼児期からの防災教育の推進に当たり、省庁間の連携をいかに強化し、学校にとどまらず地域全体で生涯にわたる防災教育をどのように体系化していくのでしょうか。国民の防災意識を飛躍的に高め、行動変容を促すための戦略と併せて、大臣の御見解をお伺いいたします。
牧野国務大臣 まず、防災大学関係の御質問に対してお答えいたします。
防災庁におきましては、防災に関する幅広い経験、知識に基づき、大局的な観点から防災全体を捉え、産官学民の多様な関係者間で高度なコーディネートを行える人材を育成することが重要だと考えております。このため、今後、国や地方自治体の職員、さらに民間人材を対象に、関係者間の顔の見える関係の構築や連携が推進されるよう、仮称でありますけれども、防災大学校の設置について、法案成立後、設置時期やその機能について検討を進めてまいります。
続いて、防災教育の推進についてのお尋ねでございました。
災害による被害を最小限に抑えるためには、平時から地域全体で災害に備える必要があります。特に、子供たちが災害を我が事として捉え、自ら助かる行動が取れるよう、学校や地域など様々な場で学びの機会を用意することが重要だと考えております。このため、各学校におきましては、学習指導要領に基づいて、社会科、理科などの各教科や特別活動などにおいて、各地域や学校の規模などの実情に応じた防災教育を行っているところであります。
さらに、内閣府の防災担当におきましては、コミュニティ防災教育推進事業や防災教育チャレンジプランを通じて、教育現場において地域住民や地域団体が行う防災授業や、幼児期から義務教育期を含む子供たちが楽しみながら防災について学べる機会の提供など、多様な取組への支援を行っております。
防災庁の設置に当たっては、将来の地域社会を担う子供たちに行動変容を促し、防災について自ら考え主体的に行動できるよう、関係省庁とも連携を図り、地域と教育現場のいずれの観点も踏まえて更なる取組を進めてまいる所存でございます。
西園委員 御答弁ありがとうございます。
顔の見える関係というのは私もすごく重要だと思います。誰かがいるからその方が助けていける、そういういろいろなネットワークがすごく大事だと思いますし、さらに、そういう関係性の大切さというものをしっかり防災庁が教育課程の中で日頃から訴えていただくことが私も本当に大事だと思います。是非よろしくお願いいたします。
これまでの内閣府防災担当は、数年で異動を繰り返す各省庁からの出向が多くを占めており、過去の災害対応から得られるノウハウを蓄積し、国としての対応力を強化させることが難しいという構造的な課題を抱えておられました。新たに創設される防災庁が真の司令塔となるためには、こうした二年で異動する一般行政職員主体の組織から脱却し、災害対応の知見を継続的に蓄積、継承する専門組織へと転換することが不可欠です。
防災庁設置準備アドバイザー会議においても、被災自治体の首長から、復興庁の職員が出向元に帰ることで、現場の初動の肌感覚や記憶が失われることへの強い危機感が示され、防災の中枢に専門性を持ったプロパー職員を継続して置くことの重要性が指摘されております。
この専門性の継承において極めて重要な鍵となるのが、東日本大震災以降、被災地支援をワンストップで担ってきた復興庁の知見です。有識者や元復興事務次官からも、能登半島地震のような複合災害に対応し、中長期的な生活再建を円滑に進めるためには、復興庁の知見や機能を統合すべきとの強い意見が出ております。
私自身、かつて復興庁に勤務し、東日本大震災からの復興の教訓を取りまとめた復興政策十年史の編さんに携わりました。その経験に照らせば、震災の教訓を体系的に整理、継承してきた復興庁の知見班こそ本来防災庁に一元的に移管すべき中核的な部門であると考えます。
復興庁の主業務が今後福島の復興へと移行していく中で、これまで培ってきた震災対応のノウハウを防災庁のベースとして定着させることこそが新組織が本格的に機能するための土台につながります。しかしながら、この度の政府の基本方針には、二〇三一年三月三十一日までの時限組織である復興庁の組織の見直しは含まれておりません。
そこで、お伺いします。
防災庁を真の専門組織として機能させるため、復興庁の知見班を防災庁へ移管することも含め、復興庁が培ってきた貴重な知見やノウハウをどのように新組織へ移管し、専門組織としてのベースを定着、継承させていくか、大臣の御見解をお伺いいたします。
牧野国務大臣 お答えいたします。
まず、西園委員が復興庁で知見班として御努力されたことは、本当に敬意を表したいと思います。
委員御指摘のとおり、復興庁がこの十四年、蓄積してきた経験とノウハウというのは非常に大きいものがあると思いますし、先ほどお答えをしたみたいに、その後、復興庁ができた後の幾つかの災害では、東日本大震災の経験を踏まえてワンストップ窓口という制度を、今の能登半島地震だったり、その前の熊本の地震だったり、そうしたときにそれを生かしてきたということがあります。ですので、防災庁の制度設計に当たっても、こうした知見を踏まえて防災庁の設計をしてきたところです。
その上で申し上げると、先ほど御提案があった復興庁の知見班を防災庁に移してはどうかということでございますけれども、復興庁は取りあえず二〇三一年まで組織として復興に携わってまいります。これからの五年間の知見もありますので、今のところ、復興庁の知見班は復興庁で頑張っていただきたいというのが復興大臣としての私の今の思いでございます。
しかしながら、先ほども申し上げたみたいに、復興庁の知見班の今までのノウハウ、経験、そして様々な蓄積については、今も内閣府防災の方にも当然のことながら役立っているし、これからつくる防災庁についても、そのノウハウ等の今申し上げた今までの経験というのは防災庁の方で生かさせていただきますが、組織とすると、復興庁が続いている中で、知見班はこれから五年間の知見も蓄えていただかなければいけないと思っておりますので、組織としては復興庁に残るということになると思います。
いずれにしましても、今、それぞれ、防災庁はまだできておりませんけれども、復興庁、そして、やがてできる防災庁、二つの組織は任務が明確に分かれておりますので、現時点では、たとえ一部の組織であっても移管の検討はしておりません。今後については、先ほどお答えしたみたいに、そのときの状況、また、政府全体としての考え方、そういったものによって今後について考えていくことになろうかと思います。
西園委員 大臣、ありがとうございます。
私も役人でずっといた感覚からすると、例えば、私が復興庁で防災庁の職員と協力してくださいと言われると、協力はするけれども、多分責任がないんですよ。ですから、防災庁の職員には復興庁の経験を持っている方がそこでちゃんと責任を持って働いてもらいたいというのが私の願いなんです。
例えば、職員はそのまま復興庁でもいいと思うんです。ただ、いわゆる兼務をする、併任発令を出すとか、これで全然違うんです。結局、公務員ですので、与えられたミッションがそこに明確にあるとなれば、その組織でしっかり働くことができますので、組織自体の定員を動かさなくても併任発令とかだったら全然できると思います。それは大臣の一存でできますので、私は防災庁を効果的に動かすために提案させていただきますので、是非御検討いただければと思います。
次に、人間工学に基づく高台避難という、ちょっと高尚というか、少し着眼点が違う話をさせていただきます。
大津波からの高台避難ですけれども、これは政府のガイドライン等では原則徒歩避難とされております。しかし、現実には、健康な人までが車で避難してしまい、大渋滞を引き起こすという課題が各地で指摘されております。その結果、本当に車での避難が必要な高齢者や要配慮者の避難ルートが塞がれ、逃げ遅れてしまう事態が生じかねません。
マニュアルに健康な人は徒歩で避難してくださいと書くだけでは、人間の行動特性や人間工学的な観点からして誰もがそのとおりに動くわけではございません。いかにして、自分は健康だから歩いて逃げよう、車は本当に必要な人に譲ろうという住民の主体的な行動変容を引き出し、地域としての最適解を導き出すかが極めて重要かつ難しい課題となっております。
私は、この最適解に近づくための大切な切り札が、地区防災計画の策定を通じた平時からの地域コミュニティーづくりにあると考えております。計画作りの過程で隣近所の顔が見える関係が構築されれば、あのお宅には支援が必要な高齢者がいるから自分は車を使うのは我慢しようといった助け合いの精神が自然と生まれてまいります。実際、北海道の浜中町では、日頃の訓練や防災教育を通じて避難のルールが定着し、津波避難時に渋滞が生じなかったというすばらしい事例もあると承知しております。
そこで、お伺いします。
単なるマニュアルの提示や一方的な掲示にとどまらず、人間の行動特性を前提とした上で、健康な人の徒歩避難と要配慮者の車避難を両立させるような避難の在り方を政府としてどう構築していかれるのでしょうか。新たに創設される防災庁として、地区防災計画の策定促進などを通じて地域コミュニティーの助け合いの文化を醸成し、住民の主体的な行動変容を促していくための具体的なアプローチについて政府の御見解を求めます。
鎌原政府参考人 お答え申し上げます。
政府の防災基本計画では、津波から避難を行うに当たっては、地震による道路の損傷や渋滞の発生などが考えられることから、徒歩を原則とする一方で、要配慮者の存在など、車両で避難せざるを得ない場合には、市町村において自動車で安全かつ確実に避難できる方策をあらかじめ検討するよう求めているところでございます。
市町村の取組例としましては、避難行動を事前にシミュレーションした結果を踏まえ、地域住民で議論を行い、車での避難も一部可能となるよう移動手段を設定している事例などがあり、このような事例を他の自治体にも周知しているところでございます。
また、地区防災計画に避難ルールの位置づけを検討している地域があることも承知しております。議員御指摘の地区防災計画の活用は、地域住民の主体的な自助、共助による防災活動を促す上で有効な取組であると認識しております。
内閣府では、地区防災計画の策定が促進されますよう、事例集の作成やモデル事業の実施などで支援を行っておりますが、内閣府防災担当の人員などを拡充し発展的に改組する防災庁におきましては、これらの取組に加えまして、地域への伴走支援を強化することとしておりますので、引き続き、津波からの避難が円滑に行われるよう、地方公共団体とも連携しながら取組を進めてまいりたいと考えております。
西園委員 御答弁ありがとうございます。私は、地区防災計画がこれからの事前防災の要だと思っております。
ちょっと二問ほど飛ばさせていただいて、この地区防災計画に絡む質問に移らせていただきますが、災害時に高齢者や障害をお持ちの方など自力での避難が困難な避難行動要支援者の命を守るためには、一人一人に合わせた個別避難計画の策定が極めて重要です。
お手元の資料二を御覧ください。
これは、都道府県ごとの個別避難計画の作成状況を表したものです。災害対策基本法の改正により、市町村による個別避難計画の作成が努力義務とされましたが、全国の策定率は一四%にとどまっています。対象者が膨大である上、平時の業務に追われる自治体のマンパワーだけでは限界があり、策定が遅々として進まないのが現場の実態です。
一方で、計画の実効性を高めるヒントとなる事例もございます。
例えば、全国で唯一六〇%を超える作成率を誇る香川県においては、日頃からの地域コミュニティーの結びつきが強く、住民同士の顔の見える関係が構築されていることで、火災発生時などにも円滑な避難行動に結びついたとの報告がございます。これは、単に紙の計画を作成するだけでなく、平時からの地域における助け合いや福祉のネットワークを防災に直結させることがいかに有効かを示しております。
さらに、高松市では、避難支援者が災害時に安心して活動できるよう、市が避難支援者を対象とした保険に加入しておられます。これが市の個別避難計画作成を後押ししているとも推測されます。
政府も、令和八年度からは、計画作成が進んでいない自治体に対し、福祉の専門職を派遣する新たな支援策を講じると聞いておりますが、更なる加速が必要だと思います。
そこで、お伺いします。
新たに創設される防災庁は、自治体の大きな負担となっている個別避難計画の策定を飛躍的に促進するため、香川県のような地域コミュニティーの力を生かすモデルの横展開や、福祉専門職、専門NPOとの官民連携、さらには防災DXの活用による業務効率化など、具体的にどのような実効性ある支援策を講じていくのでしょうか。逃げ遅れによる犠牲をなくすための力強い政府の御決意と今後のアプローチについてお聞かせください。
横山政府参考人 お答え申し上げます。
災害時に自ら避難することが困難な避難行動要支援者に対し、その状況に応じてお一人ずつ作成する個別避難計画は、平時からの災害への備えとして重要でございます。
これまで内閣府においては、委員御指摘の好事例の横展開等のほか、計画の作成手順などを示した指針や手引の周知、実際に計画作成経験のある市町村職員のまだ未対応のところに対する派遣などの取組を行ってきたところでございます。
このような取組により近年作成は着実に進んでいるところでございますけれども、御指摘があったように、令和七年四月時点における作成率は全国平均では一四%という状況でございます。更なる作成促進が必要であるというふうに考えてございます。
そこで、令和八年度からは、防災庁の設置を見据えて予算の増額を図りまして、計画の作成が進まない自治体が計画作成の専門人材などを活用できるよう、新たな支援を行うことも予定しているところでございます。防災庁が設置された暁には、人員を増やして防災の専門人材を確保、育成することとしてございます。
関係省庁、自治体などと連携を更に強化いたしまして、個別避難計画の更なる促進に取り組んでまいりたいと考えてございます。
西園委員 御答弁ありがとうございます。是非、個別避難計画作成の方の応援をよろしくお願いします。
香川県が六割を超えているというのは、私は本当にすごいなと思ったんです。よくよく考えると、要は、地域の住民の六割の方がちゃんと助けられるめどが既についているというのは私はすごいことだと思います。
その中に、先ほどの高松市が保険を掛けているというのもありましたし、あと、地区防災計画をほとんどのところが作っているんです。地域防災計画は法定計画で、作ることが決まっていますけれども、地区防災計画というのは町内会単位ですから、これは自主的に作るということですから、義務化でも何でもないです。でも、それを自ら自主的に作っているがゆえに個別避難の計画がしっかり作られている。私はこういう構図になっているんじゃないかなというふうに思いますので、是非、全国でもこういう進んでいる事例がありますので、それを参考にしていただければというふうに思います。
次に、女性の視点に立った避難所運営についてお伺いをいたします。
大規模災害時における避難所生活において女性の視点やプライバシーの確保が極めて重要であることは、これまでの多くの災害の教訓から明らかです。着替えができない環境や性暴力への懸念など、避難所におけるジェンダー課題は深刻であり、劣悪な避難所生活環境の抜本的改善は急務となっています。
もちろん、政府においても、過去の経験を踏まえ、内閣府が避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針やスフィア基準に基づくガイドライン等を作成していることは承知しております。そこでは、更衣室や授乳室の設置、男女別トイレの比率を女性三、男性一とすることや、女性用品等の支援物資は女性の担当者が配布することなど、女性の視点に立った具体的な指針が示されております。
しかしながら、幾ら立派なマニュアルやガイドラインが存在していても、いざ発災した混乱のさなかで現場の被災者自身や応援職員がそれを即座に機能させるのは難しく、現場への浸透や実効性に依然として大きな課題が残されていると言わざるを得ません。
避難所運営の現場において女性の視点が確実に取り入れられた運営を行うためには、単に自治体にチェックリストを渡して確認するだけでなく、平時からの実践的な訓練や、住民自身が主体的かつ円滑に動けるような分かりやすい仕組みづくりが不可欠です。
そこで、お伺いします。
新たに創設される防災庁として、作成されたガイドラインが現場で確実に機能するよう、女性の視点を組み込んだ避難所運営の標準化をどのように進めていくのでしょうか。また、令和八年度の防災力強化総合交付金等を活用し、女性の視点を踏まえた実践的な避難所運営訓練を全国の自治体でどのように促進し、プライバシーと安全が確保された避難所生活環境を実現していくお考えか、政府の御見解をお聞かせ願います。
横山政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、避難所運営に当たっては、発災直後から尊厳ある生活が営める環境を整備するため、女性の視点を取り入れることは大変重要なことであると認識してございます。
既に委員からも御指摘がございましたけれども、まず、御指摘いただいた避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針の内容を引き続きしっかり周知していくことは大切だと考えてございます。
ただ、それだけでは駄目ではないかという御指摘をいただいてございます。
防災庁においては、令和八年度に新たに予算措置された防災力強化総合交付金を活用いたしまして、委員御指摘のような観点も踏まえた避難所運営訓練を行うということを考えてございますけれども、しっかり自治体と連携してこの取組を強化していく。そして、防災庁設置で増加する人員も活用いたしまして、自治体等に伴走支援をしながら、先ほど申し上げました指針で示した内容をしっかり普及させて定着させていくという、この取組を強化してまいりたいと考えてございます。
西園委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
女性の視点に立った避難所運営を現場の末端まで浸透させ、具体的に実現していくためには何が必要か。私は、政策を牽引し意思決定を行う組織の中枢に女性自身が参画することが不可欠であると確信しています。
これまでの防災行政を振り返りますと、平時からの意思決定の場に女性が少ないことが災害時の避難所におけるプライバシーの欠如やジェンダー課題への対応の遅れに直結してきたと私自身は復興庁在籍時から痛感しており、政治に関わるようになってからは、その改善を強く訴え続けてまいりました。
幾ら立派なガイドラインを作っても、それを運用する組織に多様性がなければ、真に被災者に寄り添う人命、人権最優先の支援は実現できません。新たに創設される防災庁は、公務員だけでなく、女性の観点から活動している専門NPOや民間企業などと広く協力していく司令塔となります。そうした多様な主体との連携を深め、きめ細やかな支援を展開していくためにも、防災庁の内部に女性幹部や女性専門職員が配置されていることが極めて重要であると考えます。
そこで、私からの強い要望としてお伺いいたします。
防災庁が時代の変化に柔軟に対応できる組織文化へと進化していくためには、組織編成の段階から意図的かつ積極的に女性を登用する必要がございます。防災政策の企画立案や現場支援の司令塔となる幹部ポスト、さらには専門職員において女性を積極的に登用し、組織のDNAとして女性の視点を組み込んでいくべきだと考えますが、牧野大臣の御見解をお聞かせ願います。
牧野国務大臣 貴重な御提案をありがとうございます。
先ほど横山次長が答弁されたみたいに、既に内閣府防災部門の中にありまして、避難所の運営等につきましては、女性の声を反映させるために、内閣府の防災担当と男女共同参画局の女性職員が中心となって提言を過去に取りまとめております。
これから防災庁におきましては、女性を含めた職員が誇りややりがいを持って前向きに業務に取り組めるよう、平時から業務の効率化や休暇の取得の推進といった働き方改革を進めてまいります。
発災時におきましても、各職員の負担を考慮しつつ、交代で災害対応に当たらせるなどの負担軽減の取組も行ってまいります。
また、国の防災基本計画を決定する中央防災会議の構成員のうち、政府関係者を除いた民間、学識経験者につきましては、現在、女性委員が三分の一を占めております。
引き続き、働き方改革や防災分野における女性の参画を推進することで、女性を含む防災分野の人材の充実を図り、防災庁における女性幹部の積極的な登用にも力を入れてまいりたいと思います。
西園委員 御答弁ありがとうございます。女性の活躍の場、まさに訓練とかにも女性の視点というのはすごく大事だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
次に、被災した公務員に対する対応について伺ってみたいと思います。
大規模災害発生時に現場の最前線に立つ基礎自治体の職員自身もまた被災者となり得ます。自らや家族が被災し、家屋を失い、あるいは避難生活を送りながら、昼夜を問わず災害対応業務に当たる地方公務員の姿は、我が国ではしばしば自己犠牲の美談として語られてきました。
しかし、先日、元イタリア市民保護庁のマレリーナ・エポジースト氏の講演録を読む機会があり、強い衝撃を受けました。エポジースト氏は、イタリアでは家族を失っても働くことが美徳とされることはまずないと明言されていました。
イタリアでは、公務員である前に一人の人間であり、家族の安全や自身の生活再建を優先する権利が尊重されるのです。心理的ショックを受けた状態で無理に働かせることは、本人にとってはもちろん、判断ミスを招き、行政サービスの質にとってもマイナスであると考えられています。そのため、有給の特別休暇や業務免除が認められ、他地域からの支援チームが迅速に投入されるなど、個人の英雄的行為ではなく、システムとしての継続性を重視した体制が構築されているとのことでした。
翻って我が国を見ると、危機管理において個人の精神力や属人的な努力に過度に依存している側面は否めません。真の事前防災とは、特定の個人がいなくても組織が機能し、業務をカバーできる代替体制や実効性あるBCPを平時から構築しておくことです。
そこで、お伺いします。
新たに創設される防災庁は、被災した公務員が休むべきときに休めるよう、彼らの人権と心身を保護する哲学を我が国の災害対応にどのように根づかせていくのでしょうか。そして、彼らが休んでも行政機能が維持され、被災者支援が滞らないための実効性ある業務継続体制と広域的な応援・受援体制の構築について政府の具体的な方針をお聞かせ願います。
鎌原政府参考人 お答え申し上げます。
国の中央防災会議が作成しております防災基本計画では、「被災自治体の職員の安全性については、「地方公共団体は、災害対応業務に従事する職員の健康管理等を徹底するもの」としてございます。委員御指摘のとおり、被災自治体の職員が休むべきときに休んでも行政機能を維持できるようにするためには、実効性ある地方自治体の業務継続計画の作成が必要と考えております。
そのため、内閣府におきましては、大規模災害発生時における地方公共団体の業務継続の手引きを策定し、その中で、職員参集体制の整備については、職員自身の健康や、子育てや介護中であることなど、職員の希望や家庭環境へ配慮して、自宅待機の要件ですとか参集不要基準、災害対応等の交代要員の考え方について定めておくことなどを掲げております。そして、これらを実施している地方公共団体における優良事例の紹介なども行っているところでございます。
委員の御指摘のあったような広域的な応援・受援体制の整備の促進と併せて、関係省庁とも連携しまして、地方自治体の業務継続計画策定、そしてその実効性の向上に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
西園委員 御答弁ありがとうございます。
時間もなくなってきましたので幾つか質問を残してしまいますが、大臣並びに参考人の皆様、本日は多岐にわたる質問に対して真摯に御答弁をいただき、ありがとうございました。質疑を通じて、新たに創設される防災庁が担うべき役割の大きさとその使命の重さを改めて痛感したところでございます。
人命、人権優先の理念の下、逃げ遅れによる犠牲者、そして劣悪な避難生活による災害関連死を絶対にゼロにする、その確固たる決意を持って、防災庁が我が国の希望ある未来を切り開く強力なエンジンとなることを心から祈念申し上げ、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
活動報告
- 11月7日
- 公明党静岡県本部大会
- 11月6日
- JICA議員連盟総会
- 11月5日
- 都市基盤整備事業推進大会
- 11月5日
- 中部国道協会促進大会
- 11月4日
- 安全・安心の道づくりを求める全国大会
私の主張
- 11月2日
- 防災庁がスタート
- 10月19日
- 静岡大学からの切実なご要望
- 10月19日
- 公明党がめざす社会像
国会質問
- 10月30日
- 公害健康被害補償法の改正案|補償費の男女差と同性パートナー
- 7月14日
- クマ被害を防ぐ科学的な個体数管理等について質問
- 5月29日
- 衆議院国土交通委員会で「港湾の施設の技術上の基準・同解説」の改訂等について質問
メディア掲載情報
- 10月25日
- 医ケア児支援18歳以上も
- 9月25日
- 衆院議員28人、公明復党
- 8月9日
- 若者の政治参加学ぶ







